『スター・ウォーズ エピソード4/新たな希望』(1977)から最新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015)までハリソン・フォードが演じてきたハン・ソロ。アイコニックなこのキャラクターのバックグラウンドを描く『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』の主演に大抜擢されたのは、26歳のオールデン・エアエンライク。
昨秋から2500人近い若手俳優が同役のオーディションを受けたと噂される、その中には『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)のニコラス・ホルト、『キングスマン』(2016)のタロン・エガートン、『セッション』(2014)のマイルズ・テラーなどの名前も。人気・実力ともにハリウッドが期待を寄せる若手の強豪ライバルたちを負かし、オールデンは見事大役をつかんだ。
実は彼を最初に発見したのは、あのスティーヴン・スピルバーグ監督。ロサンゼルスに生まれ育ったオールデンは14歳の時、友人のバル・ミツヴァ(ユダヤ教の成人式)のパーティー用に作ったホームムービーに出演し、それを見たスピルバーグに気に入られた。
本人は「友だちの女の子に頼まれて仲間と作った作品で、脚本すらなかったんだ。僕はやせっぽちのロン毛で、女の子の家に押し入って、彼女の服を着て、めちゃくちゃな歌を即興で歌ったりしただけ。両親にビデオを見せたら『バカみたいじゃないか』と言われたよ」と振り返っているが、遊びのつもりで作ったビデオからダイヤモンドの原石を発見するとは、巨匠スピルバーグ、さすがお目が高い!
その後オールデンは2007年、18歳でフランシス・フォード・コッポラ監督の『テトロ』(2009)のオーディションに合格し、ヴィンセント・ギャロ扮する主人公の弟を演じてデビューを飾った。
長編映画デビューを巨匠コッポラの作品で果たしたオールデンは、監督の次作でエル・ファニング主演の『Virginia/ヴァージニア』(11)にも出演。ちなみに監督の娘であるソフィア・コッポラが監督したディオール(DIOR)のフレグランス「ミス ディオール・シェリ」のCMにも出演している。
そんな彼の最新作は、ジョエル&イーサン・コーエン監督の『へイル、シーザー!』(2016)。50年代のハリウッド映画界を舞台に、オールデンは西部劇で人気者の若手スターを演じている。映画会社の意向でシリアスな役者に路線変更させられるも、訛りがひどくて台詞をきちんと言うことができず、周囲は大いに困惑。不器用だけど、気のいい青年を活き活きと演じている。
Text: Yuki Tominaga